無線の場合、最大の利点は処理の結果が即座に見て取れることです。作業の状況をリアルタイムに確認できることはもちろんですが、正確な現在庫を即座に把握した上で、出荷指示や生産指示を出さなければならないといった場合など、即時性が要求される運用が実現できます。
バッチでマスタファイルを使用する場合、事前にパソコンからダウンロードしておかなければなりません。容量的に少ないものであれば良いのですが、例えば何万件とある商品マスタとなると、かなりの受信時間がかかることが予想されます。
無線運用であれば、商品コードが読まれた時点で商品名をパソコン側へ要求し取得できますからマスタファイルを持つ必要が無く、すぐに運用を開始することができるのです。
無線の場合に考慮しておかなければならないことがあります。
パソコンやサーバー上で動作する「無線通信を管理するアプリケーション」と通信することによりリアルタイム処理を実現しますから、実に様々な要因で運用がストップする可能性があります。
・無線通信管理アプリケーション、またはアプリケーションが動作するパソコン/サーバー機器の障害
・データベースの障害
・無線LANのアクセスポイントをはじめとするネットワーク機器の障害
・作業環境の変化(パーティションや棚の増設)による通信障害
ハンディターミナル側ではこのような障害が発生したときのことを想定し、緊急用の「バッチによる代替処理」を設けて運用を止めないようにするなど、対応策を講じておく必要があります。
また、もしあなたが開発者であれば、ハンディターミナルと無線通信管理アプリケーション双方で無線通信の複雑な手順を理解しなければなりません。データベースを使ったシステムでハンディターミナルが複数台となれば、マルチクライアントによるデータの整合性を考慮する必要もあるでしょう。
コスト面ではバッチと比べると非常に高価なものとなります。無線タイプのハンディターミナル、開発費、そして忘れてはならないのがアクセスポイントです。無線を使用する場合、パソコンと同じようにアクセスポイントが必要になります。きちんと通信が行なえるように場所と数を考慮して配置しなければなりません。設置場所によっては電波が届きにくい環境もありますので、必ず事前に環境測定を行いましょう。
最近はパソコンでもよく使われる無線LAN(IEEE802.11b/g/a)を搭載するハンディターミナルが当たり前になってきました。普通にTCP/IPプロトコルによる通信がパソコンと行えるので、非常にわかりやすく便利です。TCP/UDPソケットを使ってリアルタイムなデータのやり取りを行ったり、FTPクライアント機能を使ってファイル転送を行ったりする事も出来ます。
一方、独自路線をいっている機種もあります。無線通信機器メーカーとしての強みを持つ (株)スタンダードの特定小電力(1.2GHz)モデルです。特殊な周波数帯で通信ストレスを無くし、セキュリティを重視した通信を実現しています。無線LANは便利ですが、様々な機器で採用されており電波が大変混雑している状況です。また、規格が公開されていることやパフォーマンス向上のためのバージョンアップを繰り返しているため、セキュリティ面での不安は常に付きまといます。
セキュリティが厳しく要求される企業内で無線ハンディターミナルを採用するのであれば、今のところ(株)スタンダードの1.2GHzモデル以外に選択肢はないといっても良いのではないでしょうか。